かがやきインタビュー(早瀬久美さん)


かがやきインタビュー(早瀬久美さん)
/ろう者で初めて薬剤師免許を取得した早瀬久美さんへのインタビュー(その1)です。

◆石川絵理
☆早瀬久美さん

◆ 今からかがやきインタビューを始めます。
◆ 私はかがやきパソコンスクールスタッフの石川といいます。
◆ よろしくお願いします。
◆ 今日は早瀬久美さんをお招きしてインタビューをしたいと思います。
◆ よろしくお願いします。
◆ 早瀬さんは今、薬剤師として活躍されていらっしゃいますが、薬剤師はろうとしては初めてということですよね?
☆ そうですね。
☆ 2001年に欠格条項が撤廃された後に薬剤師の免許を取得しました。
☆ 今は聞こえない薬剤師が増えてきています。
☆ また、医師、看護師でも聞こえない人が少しずつ増えてきています。
☆ 良いことだと思っています。
◆ そのあたりの詳しいことはまた後であらためてお伺いします。
◆ まず、早瀬さんの生い立ちについて教えてください。
☆ 生まれは大分県です。
☆ 筑波大学附属聾学校の幼稚部に3年間通いました。
☆ その後、小学校からインテグレーションして、ずっと中学・高校・大学と、普通の学校に通っていました。
◆ ずっとなんですね、なるほど。
◆ 大学卒業後はどうされましたか?
☆ 大学を卒業した後は製薬会社に入り、7年間勤めていました。
☆ 薬剤師の免許を取得したのをきっかけに、薬局や病院で働きたいと思うようになり……今に至ります。
◆ 現場で働きたいと思ったわけですね。
◆ その辺りもまた後ほど詳しくお伺いしたいと思っています。
◆ 楽しみです!
◆ 早瀬さんが薬剤師を目指そうと思ったのは、何歳の頃ですか。
◆ また、そのきっかけは何ですか?
☆ 私が薬剤師になろうと思い始めたのは中学2年の時です。
☆ クラスの聞こえる同級生たちが将来について色々と考え始めてその夢を作文に書いている。
☆ それを見て、皆きちんと考えているんだな、とびっくりして自分もちゃんと夢というものを作らないといけないな、と考えた時に、自分の母も薬剤師なんですね。
☆ 身近にモデルがいたから、母のようになりたいなと思っていました。
☆ それともう一つ、国家試験に受かって資格を取得するということは、聞こえないとか、障害に関係なく仕事ができる。
☆ そういう点で資格は取りたいと考えていました。
☆ それで、自分に向いているのはやはり薬剤師なんだと思ったのです。
◆ なるほど、薬剤師になろうと思って勉強を始めるわけですよね。
◆ 次に、勉強方法というか、例えば数学が必要、理科も必要、とか色々考えると思うのですが、こういう情報はどうやって得たんですか?
☆ 薬学は基本的に理系ですよね。
☆ 私はもともと小さいときから父の影響で理科の実験が大好きだったんです。
☆ だから、薬を作るということはとても魅力的でした。
☆ ですので、理系を中心に勉強をしました。
☆ 文系はちょっと苦手ですね……。
☆ でも文系も含めて幅広くきちんと勉強しないといけないと試験勉強もしました。
◆ 早瀬さんはインテグレーションですよね。
◆ 普通の勉強方法というか、私はろう学校しか通っていないのでその辺りよく分からないのですが教室で聞こえない人が一人しかいない状態でどうやって勉強していたのかちょっとお伺いしたいです。
☆ 基本的に皆と同じ教室で勉強します。
☆ ですが自分は聞こえないのでわからない所がある、そういう時は隣に座っている友人が「今はここをやってるよ」と教えてくれる。
☆ それでもどうしても分からない時は後で先生の所に行って聞いたり自分の親に聞いたりして勉強を進めていました。
☆ 後は、予習・復習をきちんと出来るだけさぼらずにコツコツやること、積み重ねですね。
☆ そういう面では、本当に友人や親、先生など周りに恵まれた環境だったと思います。
◆ そういう恵まれた環境の中で本当にコツコツ積み重ねてきたわけですね。
☆ もし一人だけだったら多分無理だったと思います。
☆ 特に中学校に入った時は難聴学級があったので、難聴学級の中でも、先生に勉強で分からない所を聞くことができたという面がすごく大きかったと思います。
◆ お話を伺っていると、早瀬さんの場合、お友達、先生とのコミュニケーションもスムーズだったのではと想像しますがそのあたりはいかがですか?
☆ それが……ろう学校幼稚部の時は、声とか口話を厳しく練習させられてそれが当たり前だと思っていて小学校でも口話で話していました。
☆ それも通じているかどうかも自分では分からない状況でした。
☆ とにかく友達と一緒に遊びまくる。
☆ 喧嘩もたくさんしたし。
☆ でも中学校に入る前に、例えば自分の中のどの原因がもとで友達と喧嘩をしたのか、自分を見つめ直す機会があったんです。
☆ 「自分の悪い所は何?」と考えた時にやはり、周りの方々に対する感謝の気持ちが足りないということに気がついたんです。
☆ 「周りが色々と助けてくれるのは当たり前」というふうに、何にも考えてなかった状況に気がついてから、中学校では友達に対してもきちんと気を使うようになってから、人間関係もすごく良くなりました。
◆ 中学生のその歳で気がつくなんてすごいと思いますよ。
☆ 小学校も終わりに近づいた時にクラスで無視されたんですよ。
☆ それがきっかけで「聞こえないから」ではなく自分自身や性格の問題であるということに気づいたんです。
☆ その事件がなかったら、多分今でも嫌な性格だったかもしれないですね。
◆ なんか信じられないですね。
◆ でもちゃんとそこで自分自身を見つめなおせたのはやはりすごいし、偉いと思うんですよ。
☆ ありがとうございます。

次回に続きます。お楽しみに!


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